アクティビティリスト
このアクティビティでは、子どもたちが折り紙とクリップを使って、植物のたねがどのように飛んでいくかを体験します。たねの形や落ち方が飛行にどのように影響するかを、4種類のたね(ニワウルシ型、ラワン型、カエデ型、アルソミトラ・マクロカルパ型)を作りながら学びます。実際に模型を飛ばして観察することで、植物の自然の工夫に触れ飛行技術にもつながる知識を育てます。
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*ワークシートを準備しましょう
- 折り紙をくしゃくしゃに丸めたものと、綺麗なままのものを落とし、落ち方の違いを観察します
- 折り紙を1人1枚選び、折り、1/8のサイズを2本切り出します
- <1番目 ニワウルシ型> 折り紙を細長く切り、輪のように繋ぎ合わせて8の字の形になるように、中心をマスキングテープで止めます
- <2番目 ラワン型> 折り紙を細長く切り、少しずらしてV字のように折り、折り目をマスキングテープで止めます
- <3番目 カエデ型> 型紙を切り抜き、カエデのたねの見本を参考に少し折り込みテープで貼ります
- <4番目 アルソミトラ・マクロカルパ型(ハネフクベ型)> 折り紙の四隅の先端を1箇所折り、クリップを二個留めます
- 3本の指ではさむように持ち、紙飛行機を飛ばす様に押し出すのではなくて、力を加えず斜め下に自然に落とします
- 地面すれすれを滑空させられるとマクロカルパ(ハネフクベ型)のように飛ばすことができます
- たねの模型を作成する度に落とし、それぞれの落ち方の違いを観察し話し合います
注意事項
●広い場所で飛ばす向きを統一し、実施しましょう
準備物
- 折り紙
- クリップ
- マスキングテープ
- ハサミ
- ワークシート(型紙やサイズ違い作成用)
- (*たねや植物に関する絵本や図鑑などがあればご使用ください)
- 折り方を変えてみる
- おもりの位置や数を変えてみる
- 投げ方を変えてみる(高く上に投げてみたり、力をできるだけ入れずに落としてみたり、横から風を当ててみましょう)
- 紙の大きさや紙の厚さ、形を変えてみる(サイズ違いの参考に、ワークシートを活用する)
- たねの飛んだ距離を測ってみる
- クリップをおもりとして使用する。クリップがある時とない時の違いを観察し、共有する
- たねの見本を見て、おもりをつける位置や折り目の箇所を観察してみる
子どもに投げかける質問
- (たねを飛ばす前に、子どもたちに予測させる)このたねはどうやって落ちると思う?
- どうしてこのたねはくるくる回るんだと思う?
- もっと回るようになるには、どんな形にしたらいいかな?どうしたらいいかな?
- (異なる形のたねを比較させる)どのたねが一番遠くまで飛ぶと思う?
- たねの形を面白くしてみよう。どんな風に飛ぶだろう?
子どもの予測される行動・質問
- 回転するたねを見て驚きつつも、自分なりの工夫を加える
- オリジナルの形を作り、たねを飛ばしてみる
- たねの形やデザインを工夫し、オリジナルのたねを作る
たねが回ったり、ゆっくり落ちたりするのは、形や重さのバランスが影響しているためです。たねは空気をうまく利用して、遠くまで運ばれるように進化しています。
例えば、カエデのたねはプロペラのように回転しながら落ち、風に乗って遠くまで飛びます。また、アルソミトラ・マクロカルパ型のたねは、紙飛行機のように滑空し、ゆっくりと地面に降りることができます。このように、形によってたねが空気の流れをどのように受けるかが異なるため、落ち方にも違いが生まれます。
植物によってたねの形は違います。風を受けて、遠くまでたねを飛ばすことで、たねをより遠くまで散らばすことができれば、広い範囲で子孫を増やすことができるためです。
実際に社会で使用されているもの
このアクティビティは、自然界で見られる技術と現代の工学・テクノロジーを結びつける重要な学びを提供します。
例えば、回転する植物のたねの羽根は飛行機やヘリコプター、風力発電のプロペラデザインに影響を与えています。
軽くて薄いのに壊れない強度としなやかさがある羽根の構造には目を見張るものがあります。このように、自然界での現象がテクノロジーや工業に大きな影響を与えているわけですが、アクティビティを通じて子どもたちは、自然から学び、それを現代社会で活かす技術(バイオミメティクス)に触れることができます。
【監修協力:昭和女子大学人間社会学部初等教育学科教授 白數哲久氏】