アクティビティリスト
雪の結晶は、自然界の最も繊細で興味深い創造物のひとつです。しかし、ほとんどの雪の結晶は、六角形になっていることをご存知でしたか?
今回は、子どもたちがおりがみを使って雪の結晶をつくりながら、自然界の形の不思議や科学を深めるきっかけになります。おりがみを六角形に折り、切り込みを入れてオリジナルの雪の結晶を作る中で、数学的な形の特性や、雪の結晶が自然界でどのように形成されるのかを学べるアクティビティです。雪の結晶に隠された魅力的な科学についてまとめましょう。
出来上がった作品を見せ合うことで、創造力や表現力を育む楽しい時間を過ごします。
- 本や図鑑から冬、雪の説明をします
- 雪の結晶が六角形であることを図鑑などから説明します (四角形、六角形などの数学的・図形の話をします)
- おりがみから六角形を作ります
- 裏返したおりがみをまず二つ折りにして三角形を作り、続けてもう一度二つ折りにしますが、2cm程度のみ折り目をつけます
- その折り目に合うように、半分に折って折り目をつけていた型紙の折り目を重ねます
- 頂点と辺がずれないように合わせて、型紙の辺に沿って線を描きます
- 描いた線に沿って三つ折りにします
- 最後に、はみ出ている部分を切り落とし、開くと六角形の完成です
- 四角形から六角形ができていることを確認し、再度折り畳み、自由に切り込みを入れます
- できあがった結晶のデザインをみんなで発表し合います
- <折り紙での型紙の作り方>
- 1:二つ折りにして、もう一度二つ折りにし、開きます。 2:折り目を中心に3.8cm の箇所に印をつけます。 3:印から、中心線に向かって7.6cm の箇所に向かって線を引きます。(両側) 4:三辺がそれぞれ7.6cmの正三角形ができます。切り抜いたら型紙2枚の完成です。
注意事項
●ハサミの使用には注意してください●できれば、型紙は硬めの紙に印刷して準備しておくと子どもたちが使いやすいです
- ある線はまっすぐに、ある線は曲線に切ってみる
- 小さくして画用紙などに貼り、オリジナルのクリスマスカードを作ってみる
- 壁や窓に飾ってみる
- 六角形の結晶の構造の違いを観察してみる。そこから絵を描いてみる
- カットの回数を減らしたら(または増やしたら)、模様がどう変わるか見てみる(折り目の輪の方は切らず、バラバラの方に切り込みを入れる)
- 紙の大きさや素材を変えたり、組み合わせみる
子どもに投げかける質問
- (雪の結晶を観察すると、)どんな形が見えるかな?
- みんなが作った雪の結晶、形がちょっとずつ違うね。どうして違うんだろう?
- 雪の結晶はどんな形をしているかな?
- 雪の結晶の形を他にどこかで見たことあるかな
- 作った模様は、どんなふうに切り込んだの?
- 本の結晶の写真と見比べて見よう!
子どもの予測される行動・質問
雪の結晶が六角形をしているのは、自然界の美しい規則性と水分子の特性によるものです。水分子は特定の温度や湿度の条件下で凍るとき、分子が最も安定する形で並びます。この過程で、六角形の対称性を持つ結晶構造が形成されます。また、雪の結晶が一つとして同じ形にならない理由は、成長する際の温度や湿度のわずかな違いが影響を与えるためです。そのため、それぞれ異なる模様が生まれ、「自然が描く芸術」とも言われています。
例えば、ミツバチの巣も六角形の構造をしており、空間を無駄なく埋める形として知られています。こうした自然の形には効率や安定性が隠されているのです。このような科学の視点で自然を観察すると、身近な世界がもっと面白く感じられるでしょう。
おりがみを使った六角形作りでは、数学的な形(正多角形)の特徴を学ぶきっかけを作ります。二つ折りにしたものを三つに折ることで、六角形を作っていることを体験的に学びます。紙を折るプロセスは、空間認識力や手先の器用さを育てるだけでなく、子どもたちが「形がどのように作られるか」を体験的に学ぶ貴重な機会となるでしょう。
自由に切り込みを入れて模様を作る工程は、雪の結晶が自然界で一つとして同じ形がないことを感じさせます。「自分だけのデザイン」を考えながら切ることで、創造性や問題解決能力を楽しく伸ばせます。
実際に社会で使用されているもの
六角形構造は、ハニカム構造として建築や工学で多く使われています。橋やビルの設計などで強度と軽さを両立するための仕組みとして応用されています。
ハニカム構造は、ミツバチの巣に見られる六角形の形を取り入れた設計で、橋やビルなどの建築物に使われています。この形状は強度が高く軽量で、効率的に空間を活用できる特長があります。たとえば、飛行機の内部構造や車の一部にも採用され、強さと軽さのバランスを保つ役割を果たしています。
また、雪の結晶をモチーフにしたデザインは、服やアクセサリー、インテリア装飾品、建築物など、さまざまな日常アイテムに使われています。自然が生み出す美しいパターンをそのまま取り入れることで、私たちの生活に芸術的な要素を加えています。
さらに、雪の結晶の研究は、気候変動の観察や天候予測に役立っています。雪の結晶が形成される過程を調べることで、地球の温度や湿度の変化を詳しく知ることができます。このような研究を通して、科学が私たちの日常生活や環境問題にどのように関わっているかを学ぶきっかけになります。子どもたちにとっては「科学は生活に関わっている」という気づきのきっかけになるのではないでしょうか。
【監修協力:昭和女子大学人間社会学部初等教育学科教授 白數哲久氏】